フロントフォーク フォークシール交換
フロントフォークオイルの交換、オイルシールの交換の作業内容です。写真を撮り忘れていたりして解かりにくい部分もあると思いますが、丁寧に作業しております。
ストローク量変更、リバルビングなどチューニングは別途ご相談ください。
今回はマルゾッキ製ハスクバーナ用45パイの倒立サスのOHをします。基本は国産トレール車も同じです。最近のMX車に使われている分離加圧式は違いますので、後日アップしたいと思います。
ハスクのマルゾッキ製Fフォークは正立のマグナムから45パイの倒立に変更され、現在は50パイの倒立になっています。
パイ数の同じフォーク同士のパーツに互換性があり、フォークスプリングや油面などセッティングが違うだけです。
パーツ代が国産車と比べると高価です。現在はフォークシールキットとしてのみ設定があり、バラでは注文できません。オイルシールとダストシールとストッパーリングのセットです。ちなみにストッパーリングはバラで注文できます。
【パーツ参考価格】
シールキット ¥9600
リング二個セット ¥1000 (バラで注文した場合)
ブッシュ二個セット ¥9800
ブッシュ二個セット ¥7600
【フォークシール交換工賃】 ¥20000 フォークオイル代別 脱着工賃含む
【フォークオイル交換工賃】 ¥14000 フォークオイル代別 脱着工賃含む
フロントフォークとは関係ありませんが、リヤサスのオーバーホールにつかう道具です。
サスを外している間も車体が自立できるように取り付けるダミーサスです。市販されていませんので作りました。便利です。
左側のフォークからオイルが漏れています。
まずフロントをスタンドで浮かしてエア解放スクリューを緩めます。ブッシュが減っていると、かなりエアが入っています。ブシューと強く抜けた場合はブッシュ交換が必要です。
最近のMXサスはインナーチューブもチタンコーティングやDLCだったり、アウターチューブも加工がされていて摩耗しにくくなっています。
段取りとして、アッパークランプボルトを緩めてから、トップキャップボルトを緩めます。フォークを外してからだとインパクトで緩めるしかないですが、その際はガムテープで保護してから回します。(保護しないと傷だらけになります。若干の傷は仕方ないですが、見える場所ですから気を使います)
分解前に、ダンピングアジャスターを締めこんで軽く当たるまでのクリック数を○ノッチ戻しと記録しておきます。そのあと完全に緩めます。画像左が圧側、右が伸び側です。
アウターチューブにエアバルブの位置とL.Rの区別をマジックで書いておきます。組むとき判りやすいです。後でシンナーで落とします。
トップキャップを外します。青い部分とキャップをレンチで押さえて緩めます。スプリングを抜き取ります。上下の向きが判るようにしておきます。 ダンパーロッドのねじ山の高さを測って記録します。たまにダンパーロッドが引き込まれてしまうものがありますが、それは残念ながらダンパーが故障しています。新品交換を要します。
ダンパーの動きに異常が無く、競技に使うのでなければ、ダンパーロッドを取り外すフルオーバーホールはしなくても良いでしょう。
油面を測っておきます。オイルが漏れていない方のフォークで測ります。データがあってもオーナーの好みで変更している場合があります。元に戻せるように記録しておきます。
その後オイルを排出します。ダンパーロッドにプ―ラーを付けて何度も完全にダンパーからオイルが排出されるまでストロークします。機種により抜けやすいのと抜けにくいのがあります(オイル交換の場合は、この後オイル注入から読み進めて下さい)。ダンパーロッドプ―ラーはカワサキの純正工具で品番57001-1289が使えます。M12 1.25です。長ナットで自作も出来る?
その後アウターチューブとインナーチューブを引っ張り分解します。 バックアップリングとブッシュ(再利用する場合)の向きが判るようにしておきます。バックアップリングは面取りされている側とされていない面があります。
インナーチューブにサビやキズがないか点検します。ごく軽いものでしたら研磨して修正できますが、深いキズやサビがある場合には再メッキするか、新品交換になります。
ちなみに倒立インナーチューブ再メッキには、別途アクスル部の分解工賃が発生します。新品が手に入るなら金銭的にも交換がお奨めです。
オイルシールは完全に終わっています。
ブッシュは目では判りませんが摩耗しています。新品交換です。
ブッシュにゾイルを塗布します。ダスト、オイルシールにシリコングリスを塗布します。
クリップ先端のバリをとります。右がバリ取り後です。うすくグリスを塗布して腐食しにくくします。
フォークキャップのOリングにもシリコングリスを塗布します。
ダストシール、クリップ、オイルシール、バックアップリング、ブッシュ、インナーチューブのブッシュの順番で向きに注意して装着します。
画像のようにインナーチューブにビニールを被せてオイルシールのリップを保護して組み込みます。オイルシールを動かして渋くないかチェックします。
アウターチューブを被せてバックアップリングを押してブッシュを組み込み、そのあとにオイルシールを押しこみます。マルゾッキは両ブッシュに割がありますので、アウターにマークしたエアバルブ位置を参考にしてずらして組むようにします。
クリップを嵌めます。きちっと嵌らない場合はオイルシールが奥まで入っていないです。最後にダストシールを押しこみます。写真を撮っていませんが、フォークシールドライバという工具で押しこみます。
この状態で動きをチェックします。ひっかかりなくスムーズに作動すればOKです。
二本とも組みあがったらオイルを注入します。
エア抜き〜組み上げまでの工程で、フォークをひっくり返すとやり直しなので、安定するように垂直に固定します。 タイダウンなどを利用してうまく工夫して下さい。うちは木片と台を組み合わせてタイダウンで固定しています。一本ずつやるなら万力でもいいでしょう。
上限いっぱいまでオイルを注入し、ダンパーロッドをストロークさせてエアを抜きます。オイルを補充して、インナーチューブをかるくストロークさせてから、手のひらで口を押さえて同じようにします。負圧でエアがボコボコでてきますので、でてこなくなるまで続けます。
そのあと十分くらい放置してエアを抜きます。
油面調整は画像左の工具で行います。吸い口高さ(油面)を調整して注射器で吸い出します。
ダンパーロッドプ―ラーをとりつけて、ばねを取り付けます。ダンパーロッドを引き上げて、キャップを取り付けます。この際注意して頂きたいのはロッドのねじ山高さです。ダンパーによってはナットが固定してないため、ナットの位置が変わってしまいます。そのまま組むとダンパーロッドの長さが変わって伸び側調整ノッチ数がおかしくなります。マルゾッキは動かないので気にしなくても平気です。
キャップをアウターチューブに取り付けます。最後に忘れずダンピングアジャスターを分解前に記録したノッチ数に戻します。
フォーク組み付けの際は、エア抜きボルトが楽に緩められる位置に取り付ける、クランプの締め付けトルクをトルクレンチで管理するのはお約束です。
特にクランプ締め付けトルクは重要で、フォーククランプを締めすぎるとアウターチューブが押されてフォークの動きが悪くなります。緩いのは走行時ずれる恐れがあり危険です。